Collegium MUSA~音楽とお話しで綴る楽しいひととき~

         <ご挨拶>

 周知のように、ヨーロッパの多くの言語では音楽や美術館・博物館を表す言葉が、ギリシャ神話に登場する女神たちを表わすMusaという語から派生しています。本来、Musaとは芸術の神アポロンに主宰される女神のことで、音楽、詩作、悲喜劇、天文学などの様々な芸術や学問の分野を司る美の女神たちを意味していました。ルネサンスの時期に古代ギリシャ時代の文芸が再発見されて以降、美術館や博物館が続々と誕生し、また文学や芸術を中心として研究する大学が各地に設立されたことによって、近代のヨーロッパの多くの都市は芸術や学術を基盤として発展することになりました。

明治の近代化以降、わが国からも多くの人々がヨーロッパの文芸の伝統を学ぶために渡航し、わたしたちはそれらの先人たちの努力のおかげでこうしてヨーロッパの芸術や学問に居ながらにして触れることのできる環境を手に入れることができています。ただ、わが国の近代は、そのモデルとなった西洋の長い歴史的営為に比較すればようやく一世紀をこえたにすぎず、まだまだ現在のわたしたちの日常に十分に根づいているとはかならずしもいえません。Collegium MUSA(ムーサの会)は、音楽や文学などを専門分野とするあるいは関心をもつ人々による、ささやかな演奏および講演活動をとおしてヨーロッパの文化に親しむと同時に身近なものとして楽しむことを趣旨として発足しました。加えて日本人の作品も研究発表していければと思います。